関税戦争に勝者なし――とよく言われますが、繰り広げられるこの貿易摩擦において、最も得をしているのは他ならぬトランプ氏とその家族かもしれません。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』によれば、トランプ氏が関税強化を発表してからわずか6日間で、家族とその支持者が得た財産は1,600億ドルにのぼるとされます。
EC分野においても、彼が密かに立ち上げたAmazonストアの売上が好調であることが判明しています。
1|トランプのAmazon店舗:関税戦争下の“黒馬”
セラーへの影響と市場動向
米中関税摩擦の影響で多くのAmazonセラーが打撃を受ける中、以下の現象が相次ぎました。
- 価格上昇 → 購入意欲減退
- 在庫調整・販売縮小
- 米国市場からの撤退
しかし、トランプ氏の店舗はこれらの影響をあまり受けず、むしろ「Made in USA」ブランドで売上を伸ばしています。
「Made in USA」需要の急増
分析企業SmartScoutによると、以下の検索量が大幅増加しています。
- 「Made in USA only」検索量:前年比+220%
- 「Made in America products only」:+130%
- 「Made in USA flag」:+250%

Avenue7Mediaのジェイソン・ボイス氏によれば、「Made in USA」関連の検索は昨年比で5倍に増加。さらに、Facebook上でも「米国製のみ表示」機能をAmazonに求める投稿が1.1万件以上の反響を呼んでいます。
トランプAmazonストアの驚異的な成果
45日前に開設されたトランプのAmazonストアでは、全商品が新商品ながら既に複数アイテムがヒット。
中でも「Make America Great Again」ロゴ入りの野球帽が爆発的に売れています。
- 30日間で2,100件以上販売
- 総売上:約99,969ドル(約14400,190円)

この商品の実績は以下の通りです。
- 男性用ユニークキャップカテゴリ BSR1位
- 女性用ユニークキャップカテゴリ BSR1位
- ユニークアクセサリーカテゴリ BSR34位

顧客の購買動機分析
レビューには次のような声が寄せられています。
- 「高品質で本物の米国製」
- 「刺繍やフィット感が抜群」
- 多少の誤差(デザイン違い)があっても「本物であることに意味がある」
したがって、“品質”以上に”理念や象徴性”に価値を感じて購入していることがわかります。このキャップはAmazonでの評価4.9、うち94%が★5という高評価を獲得しています。

2|トランプ関税の余波:米中間の海運コスト上昇
海運業界への直接的影響
最近数週間で、中国→米国の海運予約数が約60%減少しました。その結果、以下の現象が発生しています。
- → 需要急落 → 運航キャンセル(空航)増加
- Sea Intelligence:2025年4月、80回以上の空航(2020年5月の51回を大幅に上回る)
関税緩和による市場回復
しかし、5月中旬に中米が関税緩和で合意。その影響で市場に変化が生まれています。
- 中国製品の関税が145% → 30%に減少
- Vizionによれば、5/9〜13の予約件数が82%増加
- Flexport CEO:関税合意初日に予約が35%増加したと報告
今後の海運コスト予測
🚢 海運コストの反騰も視野に:
- 供給不足 → 運賃上昇は避けられない
- 2021年には、1コンテナ2万ドルという高騰も記憶に新しい
今回の違い:
- 消費者起因ではなく企業による在庫補填が主
- 中国港湾の影響は比較的軽微
📈 現時点でも価格上昇の兆しが見えています。
- 空航 → 実運力減少
- 需要回復 → 新たな価格ラリーの前兆
企業にとっては、
- 今の価格でブッキングするか
- 後で高騰した船賃を払うか
という”二択”を迫られつつあります。つまり、トランプAmazonストアのような米国製品への需要が、このような状況下でさらに高まる可能性があります。
最後に
トランプAmazonストア成功は「米国製=売れる」のロジックを強化していますが、その一方で彼自身の政策がもたらしたコスト高と混乱によって、多くのセラーが板挟み状態となっています。
セラーにとっては、再び価格・物流両面でのリスクマネジメントが問われる局面に入ったと言えるでしょう。なぜなら、トランプAmazonストアの成功事例は、今後の市場戦略を考える上で重要な示唆を与えているからです。
まとめ
- トランプAmazonストアは関税戦争下でも「Made in USA」ブランドで好調な売上を実現
- 「Made in USA」関連検索が昨年比5倍増加し市場需要が急拡大
- 野球帽が30日間で2,100件販売し約10万ドルの売上を達成
- 関税緩和合意により海運予約が82%増加するも今後のコスト上昇懸念
- セラーには価格・物流面でのリスクマネジメントが重要課題
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