アマゾンの2025年秋季ビッグセール（Prime Big Deal Days）が、いよいよ迫っています。
しかし、越境ECセラーが業績アップに向けてラストスパートをかけるこの重要な時期に、アマゾン児童玩具規制の新たな動きが続々と現れています。つまり、プラットフォームの規制強化が本格化しているのです。
1、複数の玩具セラーがアマゾンから通知を受領
検証制度の概要と対応要件
最近、米国・カナダの児童向け玩具を販売する複数のセラーが、アマゾンからの通知メールを受け取ったと報告しています。
メールの内容によると、2025年9月3日以降、アマゾンは米国・カナダの両サイトにおける児童玩具の販売について、毎年「検査・検証・認証（TIC）」機関による年次検査または書類確認を義務化するとしています。これにより製品のコンプライアンスを保証する狙いです。
通知を受け取ったセラーは、アカウント管理画面から影響を受ける商品および対応期限を確認し、次のプロセスを進める必要があります：
- アマゾンが認可するTIC機関を選定
- 見積もりを受け、商品サンプルまたは関連書類を提出
- 機関による適合性検証を実施
新制度の重要な変更点
従来との違いは、検証結果をセラーがアップロードするのではなく、TIC機関が直接アマゾンへ提出する点です。
すでに米国・カナダのセラーの管理画面には、対応が必要なASINが表示されており、過去に審査を通過した商品でも再度通知を受け取ったケースがあります。アマゾンの説明では、2025年9月25日までに必要書類を提出しなければ販売継続不可となります。
この通知を受け、多くの玩具セラーが不安を抱いています。
欧州市場への拡大可能性
実際、アマゾンは2025年9月より、児童玩具カテゴリーにおける「直接検証（Direct Validation）」制度を米国・カナダ・英国・フランスなどで強制導入すると既に発表していました。
つまり、新制度の進展により、英国・フランス・ドイツ・イタリア・スペインといった欧州サイトでも順次通知が届く可能性が高いということです。マルチマーケットで展開するセラーにとっては、各国で重複して検証を行う必要があり、運営の複雑化やコンプライアンスコストの上昇は避けられません。
ただし業界関係者によれば、既に検査報告書を持つセラーは、TIC機関を通じてその報告書を提出・審査してもらえるため、長期的に適法に運営しているセラーにとってはむしろ追い風になり得るとも指摘されています。これにより、公平な競争環境が整う可能性があるのです。
いずれにしても、通知を受け取ったセラーは迅速に対象商品と期限を確認し、必要な書類を準備・提出することが不可欠です。
2、アマゾンによる児童製品カテゴリーの厳格化は継続
巨大市場の現状と成長見込み
IMARCのデータによると、2024年の世界玩具市場規模は1,139.4億米ドル。2025年から2033年にかけて年平均成長率6.2%で拡大し、2033年には1,963億米ドル規模に達する見込みです。その中で北米市場はリードしており、2024年には世界シェアの約39.9%を占めています。
さらに、ECDBのデータでは、米国の玩具EC市場収益は2024年に210.63億米ドルに達し、2025年には前年比5〜10%の成長が予測されています。この市場において、アマゾンは最大のEC小売業者であり、2024年の収益は130.2億米ドルに上りました。
安全性問題と規制強化の背景
つまり、玩具市場は巨大かつ成長中である一方、品質や安全面では課題も抱えているのです。
実際、2024年に安全性・コンプライアンス問題でアマゾンが削除した商品のうち、玩具カテゴリーは15%を占めたという調査結果もあります。コスト削減のために偽造CPC証明書や不完全・改ざんされた証明書を使用するセラーも存在し、大きな安全リスクと不公平な競争環境を生み出しています。
各国政府が児童製品の安全基準を強化する中、アマゾンが最大手小売業者として厳格な姿勢を取るのは自然な流れです。
過去の審査強化事例
すでに2023年の時点で、アマゾンは児童製品の審査を強化し、複数の試験証明を求めるようになっていました。その際、おむつ替えバッグ（Diaper changing messengers）など多数の商品が削除対象となり、一部の成人用バッグまで誤判定で販売停止となったケースもあったのです。
まとめ
今回の「直接検証」制度導入は重要な転換点です。アマゾン児童玩具規制をさらに厳格化する大きな動きだからです。
関連カテゴリーを扱うセラーは、早急に必要な準備を進めることが重要です。そして、適合証明を整えておくことが強く推奨されます。なぜなら、審査強化に伴う下架リスクを回避する必要があるからです。安定した販売を継続するためには、事前対応が欠かせません.
コンプライアンス違反が15% – 偽造証明書使用など安全性問題が規制強化の背景
2025年9月3日から検証義務化開始 – 米国・カナダで児童玩具の年次検査が必須に
TIC機関による直接検証制度 – 検証結果は機関がアマゾンへ直接提出する新方式
2025年9月25日が提出期限 – 必要書類未提出の場合は販売継続不可
欧州市場への拡大予定 – 英国・フランス・ドイツ等でも順次導入の可能性
玩具市場は1,139.4億米ドル規模 – 2033年には約2倍の1,963億米ドルへ成長見込み
お問い合わせ…