1.中国企業の海外ブランド展開：最新ランキングが示す成長
先日、OneSightが編纂・発表した「BrandOS中国における海外展開ブランドのソーシャルメディア影響力ランキング」が第3四半期のデータに更新されました。
業界を問わない「中国におけるTOP 100海外展開ブランドのソーシャルメディア影響力ランキング」を見ると、よく知られた企業が多く見られます。ファストファッション界のSHEIN、3C（コンピュータ・通信・家電）界のAnker、UGREEN、oraimo、デジタル界のInsta360、NEEWER、SmallRig、家庭用品界のRoborock、Govee、ウィッグ界のUNice、Luvmeなど、各業界のトップ企業が引き続き安定してランクインしています。
2.新興ブランドの躍進：OQHairとSAIVI傘下ブランドの成功
同時に、新興の海外展開企業も急速に台頭しており、例えば、「中国におけるTOP 30 ECランキング」では、ウィッグブランドのOQHairが、TikTok Shopのカテゴリー別売上でトップとなり、1週間で1,799点を販売し、売上高は約24.07万ドルに達しました。1商品がオフシーズン中にTikTok Shopで55万ドルの月間GMVを達成。TikTok Shop米国店のオープン後、総販売数は急速に2.5万点近くまで上昇し、売上高は352万ドルに達したと推定されています。
同ランキングのCoofandyとEkouaerは、いずれもSAIVI（赛维时代）傘下の主力ブランドで、9月には両ブランドがニューヨークファッションウィークのステージに登場しました。アマゾンの関連カテゴリーのベストセラーランキングでは、この2つのブランドの商品が長期的にランクインしており、SAIVIの収益に大きく貢献しています。
今年上半期、メンズアパレルブランドCoofandyの売上高は約9.5億元で、前年同期比51.11%増となりました。2020年から2023年の間、Coofandyの売上高はそれぞれ2.6億元、6億元、9.17億元、14.55億元と、ほぼ毎年倍増しています。
ラウンジウェアブランドのEkouaerも負けていません。今年上半期は7.86億元を売り上げ、前年同期比57.93%増となりました。2022年から2023年の売上高はそれぞれ9億元、12.86億元に達し、売上高はSAIVIのブランドポートフォリオで長期的に2位を維持しています。
その他、Victor、CUBOTなど多くのブランドがランクインしており、Ankerが昨年発表した新ブランドも静かにランクインしています。
3.Ankerの新ブランド戦略：SOLIX事業の展開
「BrandOS 中国における2024Q3 TOP 30工業製造業海外展開ブランドのソーシャルメディア影響力ランキング」において、Anker傘下のデジタル充電機器および関連アクセサリーブランドAnkerの新ブランドシリーズAnker SOLIXがランクインしました。このランキングの最下位ではありますが、「エネルギー」というカテゴリーだけを見ると、ランクインした4つのブランドの1つであり、ソーシャルメディアプラットフォームでのこの新ブランドへの注目度の高さがうかがえます。
周知の通り、AnkerはAnker社の最も収益性の高い、最も早く立ち上げたブランドで、モバイルバッテリー分野から海外市場に進出し、その後他の消費者向け電機分野に拡大し、3C分野における数百億元規模の大手企業となりました。
従来の充電製品だけでも、Ankerは年間売上高86億元を超え（2023年の財務報告書で充電・蓄電カテゴリーの売上高として報告）、今年上半期のこのカテゴリーの売上高は50億元近くに達していますが、Ankerはこれに満足していません。
昨年、Ankerは近年注目を集めている新エネルギー分野に進出し、Ankerブランドの下で消費者向け新エネルギーブランドシリーズAnker SOLIXを立ち上げ、家庭用太陽光発電や蓄電製品などに焦点を当て、家庭や屋外の全シーンにグリーンエネルギーソリューションを提供しています。
これまでのポータブル蓄電製品の研究開発と生産基盤の優位性を活かし、Anker SOLIXはすぐに一連のスター製品を発表し、海外で迅速に展開しました。
アマゾンでは、Anker SOLIXのリスティング数は多くありませんが、多くの製品が関連カテゴリーのベストセラーランキングに迅速にランクインしています。例えば、価格55.99ドルのAnker Solix PS30ソーラーパネルと179ドルのAnker SOLIX PS100ソーラーパネルは、「Solar Panels（ソーラーパネル）」カテゴリーでそれぞれ31位と45位にランクインしています。
また、1548ドルからの製品であるAnker SOLIX C1000は発売後すぐに市場の反響を得て、アマゾンの「Outdoor Generators（屋外発電機）」カテゴリーのベストセラーランキングで5位となり、同じランキングで、Anker SOLIX傘下の139.99ドルのC300 DCと165.59ドルのC300がそれぞれ9位と10位にランクインしています。
アマゾンでこの新ブランドを展開するだけでなく、AnkerはAnker SOLIX独自のブランドウェブサイトも構築し、製品カテゴリーには主にバルコニー型ソーラー、ポータブル電源、ソーラーパネルが含まれています。
昨年のブランド立ち上げ以来、Anker SOLIXはバルコニー用太陽光発電蓄電製品Anker SOLIX Solarbank E1600、およびAC結合を実現し系統連系型太陽光発電と連動可能な初のアウトドア電源Anker SOLIX F3800を迅速に発売しました。F3800は全館バックアップ電源および電気自動車の有線充電もサポートしています。
今年2月、Anker SOLIXは3種類のキャンプライトモードを内蔵した初のアウトドア電源Anker SOLlX C800 Plusを発売し、充電製品とキャンプライトの概念を融合させました。
4月、2024年国際消費者電子展（CES 2024）で展示された家庭用蓄電システムAnker SOLIX X1が北米で発売されました。同時に、この製品は極めてシンプルで薄型のデザインにより、Reddot Winner 2024（レッドドット賞）を受賞し、この製品に付属するアプリは初めてUX Design Awards候補賞を受賞しました。
5月、Anker SOLIX Solarbank 第2世代ProとPlusがドイツで発売されました。
わずか1年で、Anker SOLIXシリーズ製品は、アウトドア電源機器、ポータブルソーラーパネル、革新的なバルコニー太陽光発電ソリューションをカバーし、異なるシーンに応じて異なるシリーズに分けられています。
例えば、Anker SOLIX Fシリーズは大容量のモバイル蓄電製品で、主に家庭用バックアップ電源として使用され、家庭の電気回路に接続し、系統連系型太陽光発電と連動して全館のエネルギー循環を形成します。Anker SOLIX Eシリーズは、バルコニーの太陽光発電と連動し、日中は太陽光で充電し、夜間は放電を実現します。
現在、Anker SOLIXは、アウトドアキャンプ向けCシリーズ、家庭用バックアップ電源とモバイル蓄電向けFシリーズ、バルコニー太陽光発電蓄電ソリューションEシリーズ、家庭用蓄電ソリューションXシリーズを展開しています。
新分野において、Ankerは「一撃必中」の姿勢を見せており、現在、華宝新能源傘下のJackeryや正浩創新傘下のEcoFlowなどのポータブル電源大手との熾烈な競争の様相を呈しています。
4.XPPenの成功戦略：グローバル市場での躍進
実際、XPPenは「BrandOS TOP 30消費者向け電機海外展開ブランドのソーシャルメディア影響力ランキング」に初めて登場したわけではなく、一度ランク外となった後の復帰です。
2022年の時点で、このブランドは既に海外展開ブランドランキングに登場していました。当時、そのブランド知名度は急上昇し、「BrandOS TOP100海外展開ブランドのソーシャルメディア影響力ランキング」に何度もランクインしています。
XPPenは中国深圳漢王友基科技有限公司（以下、「漢王友基」）に属し、その背後の真の所有企業はクロスボーダーECの大手である漢王科技です。
漢王科技傘下の多くの子会社の一つとして、漢王友基は以前、深圳市政府から独立サイト「XPPEN商城アメリカ独立サイト」に対して197万元の助成金を受けています。
ドローイングタブレット製品に焦点を当てているため、XPPenは設立当初からアニメ文化が発達している日本を狙い、その後2015年まで、アメリカに会社を設立し、日本を起点として、世界市場へと深く広く展開していきました。
2017年、XPPENの製品はアジア、北米、欧州などの市場で熱烈な反響を呼び、このブランドの評判と知名度は着実に向上し、市場シェアの成長にも寄与しています。
2018年、市場需要と技術面の継続的な変化に伴い、XPPEN製品ラインは初心者向けStarシリーズデジタルタブレット、Decoシリーズデジタルタブレット、上級ユーザー向けArtistシリーズデジタルタブレットへと拡大しました。
その後、漢王友基は性能の違いに応じて製品を「エントリーレベル」「コンシューマーレベル」「プロフェッショナルレベル」に分け、それぞれugee、XPPEN、xencelabsブランドに対応させています。
コンシューマーレベルのブランドとして、XPPENは常に優れた実績を上げており、すでにアマゾンのドローイングタブレット製品のトップブランドとなっています。多くの製品リスティングがアマゾンの「Amazon’s Choice」製品として認定され、プラットフォームの「Computer Graphics Tablets（コンピュータグラフィックタブレット）」カテゴリーのベストセラーランキングの常連となっています。
例えば、アマゾンで59.99ドルで販売されているドローイングタブレット製品は、発売以来1万件以上のレビューを獲得し、カテゴリーのベストセラーランキングで10位となっています。同じベストセラーランキングでは、XPPENの7つのリスティングがランクインしており、いずれも上位に位置しています。
アマゾン以外にも、XPPENの独立サイトは非常に成熟しており、ページには製品とコミュニティなどが含まれ、絵画愛好家が共有・交流できる場を提供しています。同時に、ブランドサイトでは定期的に描画プロセスを含む作品を更新し、初心者が模写学習できるようにしています。
Similarwebのデータによると、グローバル市場、アメリカ市場、またはカテゴリー別のいずれで見ても、XPPEN独立サイトの訪問数ランキングは着実に上昇しています。11月の独立サイトの訪問数は86.59万に達し、過去3ヶ月の月間平均訪問数は86.11万を超えています。
ブランド認知度に関して、Google Trendsのデータによると、XPPENのブランドキーワードの人気は2017年から徐々に上昇し始めました。2022年にXPPenがニューヨークのタイムズスクエアのナスダック大型スクリーンに登場したことで大きな注目を集め、ブランドワードの検索人気が急上昇し、2023年と2024年には何度もピークを迎えています。
優れた製品性能と手頃な価格で、XPPenは多くの消費者の心を掴んでいます。2020年には、漢王友基の営業マネージャーが、XPPenのデジタルドローイング製品シリーズのアマゾンでのトラフィックと売上が前年比で7-8倍に増加したと述べています。
資料によると、2023年までにXPPenは世界で累計700万台以上のドローイングタブレットを販売しています。
漢王友基傘下のデジタルアート分野をリードするブランドとして、XPPenはデジタルアート製品、コンテンツ、サービスを統合して消費者、特にZ世代のデジタルアーティストのニーズに注力しています。
業界で19年の実績を重ね、20以上のオンラインサードパーティプラットフォーム、独立サイト、オフラインチャネルを通じて、XPPenは現在、世界163カ国・地域で事業を展開し、ブランド公式サイトは29カ国・地域の言語に対応しています。現在、XPPenは150万人以上のファンを持ち、1,000万人以上のデジタルアートクリエイターにサービスを提供しています。
漢王科技の財務報告によると、市場競争が激化する中でも、2023年にはデジタルドローイング製品の粗利益率が2ポイント上昇しました。今年上半期には、海外デジタルドローイング市場が回復し、漢王科技のデジタルドローイング事業の売上高は前年同期比17%増加しました。
消費者向けデジタルドローイング製品として、XPPenが漢王科技にもたらす収益は無視できない規模となっています。
海外市場は益々活況を呈しており、海外ブランドプールも絶えず更新され、競争は一層激化しています。
まとめ
- 中国企業の海外ブランド展開は、多様な業界で成功を収めています。特に新興ブランドの台頭が顕著です。
- Ankerは新ブランドSOLIXを通じて新エネルギー市場に参入し、既存の技術力を活かした製品展開を行っています。
- XPPenは、明確な市場戦略と製品ラインナップの充実により、グローバル市場で強固な地位を確立しています。
- これらの成功事例は、中国企業の海外ブランド展開における戦略の重要性を示しています。
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