01|「Made in USA」検索数が急上昇中
トランプ政権下の関税政策と「アメリカ製造業復活」の呼びかけにより、注目すべき現象が起きています。つまり、「Made in USA」関連ワードの検索量がGoogle・Amazonなどで急増しているのです。
あるデータによると、Made in USA ビジネスに関連する検索トレンドは以下の通りです:
- 「Made in USA」:検索量 +220%
- 「made in America products only」:検索量 +130%

米国現地セラーの戦略変化
これを受け、米国現地セラーは次々と重要な戦略転換を図っています。つまり、「アメリカ製造専門ストア」を開設し、愛国心を前面に打ち出した商品を展開しているのです。

さらに、商品画像やタイトルに「Made in USA」の文字や米国国旗などを目立つ位置(主画像など)に配置しています。そのため、愛国志向の消費者を的確にターゲティングできているのです。
「商品を買う=アメリカの雇用・技術・価値観を支える投資」というようなナラティブも散見されます。このようなアプローチがMade in USA ビジネスの核心となっています。
成果の二極化現象
とはいえ、すべてのセラーがその恩恵を受けているわけではありません。
実際の結果を見ると、以下のような状況が生まれています:
- 一部セラーは「検索量は増えたがコンバージョンには繋がらない」と指摘
- 一方で「露出が増え、溢価(プレミアム価格)で販売できた」というセラーも存在
成功事例:McIntosh氏のケース
米国のモバイルスタンドを販売するMcIntosh氏は、具体的な成功を収めています。なぜなら、詳細ページを更新し、主画像に「Made in USA」表記を追加したからです。
さらに、SEOにもキーワードを挿入することで、明確な売上アップを実現しています。これがMade in USA ビジネスの実践的な成功例と言えるでしょう。
02|「Made in USA」の定義とそのビジネスチャンス
米国連邦取引委員会(FTC)は「Made in USA」表示に対して明確な基準を定めています。したがって、Made in USA ビジネスを展開する際は、以下の定義を理解することが不可欠です。
3つの主要カテゴリー
- Made in USA(完全な米国製): 構成部品・加工・組立のすべて、またはほとんどが米国内で行われている商品
- Made in USA with US & Global Materials(米国と海外素材で製造): 主構成部品の原産地や米国での加工比率によって表示可能か判断される商品
- Assembled in USA(米国内組立): 海外部品を使用していても、組立が米国内で、かつその比重が高い場合に使用可能
具体例:ヒートガンのケース
例えば、ヒートガンが85%米国部品構成で米国内組立であれば「Assembled in USA」と表示可能です。つまり、この基準を満たすことでMade in USA ビジネスの範囲が広がるのです。

03|越境セラーにとっての新たなチャンス:「Assembled in USA」
日本や中国などの海外セラーが「Made in USA」を掲げるのは困難です。しかし、「Assembled in USA」なら実現可能性があります。
これこそが、越境セラーにとってのMade in USA ビジネス参入の鍵となるのです。
深圳セラーの成功アプローチ
ある深圳セラーは次のような革新的なアプローチを採用しています:
- 完成品ではなく部品を輸送 → 米国内で組立 → 税コスト削減
- Assembled in USA と表示し、露出や信頼度を向上
取り組みやすい商品カテゴリー
特に以下の商品カテゴリーでMade in USA ビジネスの可能性が高まっています:
- 3Dプリント可能な商品(自動化で人件費ほぼゼロ)
- 簡易組立の商品/軽量だがかさばる商品(例:ぬいぐるみ)
POD製品の躍進
- POD(プリント・オン・デマンド)製品: Tシャツ・クッション・カーペットなどに、消費者の写真やデザインを反映したカスタム製品を指します。
AI生成デザインの進化により、個性的で高付加価値な商品が容易に生産可能になりました。そのため、米国では Printful や Zazzle などのPOD企業が躍進中です。
さらに、日本セラーの中にもこの波に乗る動きが見られます。
日本セラーの成功事例
日本セラーからは以下のような報告が寄せられています: 「Assembled in USA表記を追加することで、CVRが20〜30%向上し、15〜30%の価格プレミアムが得られた」

この結果は、Made in USA ビジネスの実際の効果を示しています。
04|「Made in USA」だけでは勝てない?現実的な市場分析
とはいえ、Amazonでの競争構図全体に与える影響は限定的です。なぜなら、Made in USA ビジネスにも課題があるからです。
Amazonセラー構成の現実
2024年、Amazonのセラー構成比は以下の通りです:
- 中国セラー:50%以上
- 米国セラー:約45%(一部は中国資本の米国法人)

画像:セラースプライト出品-アマゾン2024年度データ報告書
消費者行動の実態
さらに、Amazonの利用者には以下の特徴があります:
- 「価格重視」傾向が強く、感情より価格がCVに直結
- Amazonは「Made in USA特集」ではなく、「Haul(激安モール)」を展開中
したがって、”愛国心”よりも”コスパ重視”がAmazonユーザーの行動原則です。つまり、中国セラーの価格優位性は依然として強力なのです。
最後に
「Made in USA」は確かにトレンドであり、愛国的なニーズに訴求するパワーを持っています。しかし、Amazonなどの価格競争型プラットフォーム全体を覆すような力は持っていません。
一方、「Assembled in USA」やPODによる差別化戦略は注目すべき可能性を秘めています。つまり、越境セラーにとって現実的で有効なチャンスとなり得るのです。
したがって、時代の波を捉え、適切にタグ付け・設計・供給体制を組むことが重要です。そうすることで、新しい販路と新しい顧客層の獲得が可能になります。
Made in USA ビジネスは完璧な解決策ではありませんが、戦略的に活用することで競争優位性を築くことができるでしょう。
要点まとめ
現実的な限界認識: Amazon全体では価格優位性が依然として最重要要素
Made in USA検索急増: 「Made in USA」検索量+220%、関連ワード+130%の大幅増加
FTC基準の理解: 完全米国製、米国・海外素材製造、米国組立の3カテゴリー明確化
越境セラーの機会: 「Assembled in USA」でCVR20-30%向上、価格プレミアム15-30%獲得可能
POD製品の可能性: AI生成デザインとカスタム商品で高付加価値実現
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